【質問】
「使える売買システム判別法」や「FX自動売買・ガチンコ投資必勝技」で紹介されているPFを基準にしたシステムの選び方について質問します。PFの値は、毎週その数値が変わります。これほど大きく変動する指標を、システム選びの基準にして良いのでしょうか。
【回答】
このあたりは統計的検定に独特の考え方があり、初めて統計学に関わる方には、なかなか分かり難いところです。そのため、よく質問を受けるところでもあります。
おそらく質問者は、
・PFの基準を上回る場合=実力あり
・PFの基準を下回る場合=実力なし
とお考えになっているのではないでしょうか。
上記のようであれば、検定の結果がめまぐるしく変わるのですから、質問者の指摘は正しいといえます。しかし、実は統計学の仮説検定では、そういうことは分かりません。
統計的検定の考え方について、ここではベースボールを例にとって解説してみます。
優秀なバッターの打率は3割以上というのが大よその目安になっていますが、この場合、短期的な3割(=30%)の打率を基準にして、その選手が優秀か否かを判別するのは、問題があります。それは、平凡なバッターでも、ある時は運が良くて、3割オーバーの成績を出すことがあり得るからです。
そこで、もっと高い基準を設けます。平凡なバッターでは、偶然にも出し得ない打率を基準にするのです。
そうして、例えばそれが30打席で6割と算出できたとすると、平凡なバッターは、まぐれでもそれを超えられません。(この6割という数値は、あくまで例です。数学的に割り出したものではありません。)しかし、優秀なバッターの場合、調子の良い時期はそれを越えることがあるわけです。そこをとらえて、優秀なバッターを見つけるのがこの手法です。
この時問題なのは、この6割を越えないバッターは平凡といえるか?ということですが、ここまで読んでいただければ、必ずしもそれは言えないことがお分かりだと思います。
例えば、好不調の波の大きくない打者であれば、一時期に6割を超えなくても、年間トータルで3割を超える立派な成績を上げる可能性もあるからです。
したがって、6割基準の検定で分かることは、
・基準以上=強い確信をもって優秀といえる
・基準未満=優秀か平凡かは、わからない
ということです。
基準値以上が優秀、未満が平凡とは言えないのです。
マリナーズのイチロー選手などもそうですが、優秀な打者でも、何試合もヒットゼロの時もあり、また一試合に3安打以上を「固め打ち」する時もあるというように、時によって成績はばらつくことが多いため、この手法が有効なわけです。
このような手法を使って、システムの優秀さを評価する場合、優秀なシステムでも普段は基準値以下のことが多いわけです。そして、成績(この場合PF)が常に変化している中で、あるとき、「平凡なシステムではありえない成績を出した」その瞬間を見て、優秀であることを発見するわけです。拙著では、このことを「波間に一瞬見える氷山の一角で、その存在を知るようなもの」と表現しています。
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