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2010・05・06
FX(外国為替証拠金取引)や株式、先物、CFD(差金決済取引)など、さまざまな
投資分野で「システムトレード」にチャレンジする個人トレーダーが増えています。
システムトレードとは、その場の"直感"や"ひらめき"や"思いつき"ではなく、あらか
じめ構築した売買システム(システム)の出すシグナルに機械的に則って
トレードをする手法です。
なぜ、システムトレードが注目されるのでしょうか。それは継続的にトレードの収
益を蓄積するための「メリット」が、この手法にはいくつもあるからです。また、情
報技術の発展によって、個人でも自分でコンピュータにシステムをプログラムできる
環境が、急速に整ってきたことも背景にあります。
ただ、必ずしも自力でシステムを作ることや、コンピュータでプログラムすること
だけがシステムトレードとは限りません。一言でシステムトレードといっても、実に
さまざまな取り組み方があるのです。
そこで本書では、まずシステムトレードの概念と、いくつかのタイプについて確認
したいと思います。そのうえで、この手法で勝つための知識やノウハウについて紹介
します。
ただし、一般的なトレード書のように、相場分析や売買のタイミング、適正な売買
価格の予測といったことは、一切解説しません。また、システムを作るための技術解
説や、より強力なシステムを作るためのノウハウを提供するものでもありません。
本書が提供するのは、システムそのものの「優劣」を判断する分析方法、そしてシ
ステムを使いこなすためのノウハウ、アイデアです。そのための確率統計の技術につ
いて、具体的かつ実践的に紹介します。
つまり、本書が分析の対象とするのは、相場ではなく、システムそのものなのです
。
●このシステムは勝てる良いシステムか否か?
●このシステムを実際に使ってトレードした場合、どれくらいのリスクとリターンが
見込まれるか?
●そして、どのようにしたらシステムを使いこなして利益を手にできるか?
それらの答えを得ようというのが、本書の目的です。システムトレード成功のカギ
は「選ぶ力」 相場分析をせずに、システムを分析すると聞いて奇異に感じられる方
もいるかもしれません。普通、相場分析がトレードの第一歩となるからです。
その理由は、この手法の仕組みを考えてみると分かるでしょう。システムトレード
には、いくつかタイプがあるものの、いずれにしても自分の"外"に置いた売買ルール
で、機械的にトレードをします。私であれ、皆さんであれ、売買ルールさえ良ければ
、そしてそれに機械的に従えば、勝てるトレード方法です。
現在では、必ずしも自分自身でシステムを作らなくても、専門家の作ったシステム
を購入したり、借りたりすることで、システムトレードを実践できるようになりまし
た。極論すれば、投資や相場に関する知識や経験、ノウハウなど一切無くても、良い
システムを選ぶ力さえあれば、トレードに勝てるのです。
これは実のところ、自分でシステムを作っている方にとっても同じことがいえます
。自作システムの優劣を客観的に評価できるようになれば、運用成績の格段の向上が
望めるからです。
つまり、専門家の作ったものであれ、自分の作ったものであれ、システムトレード
で最も重要なことは同じといえます。それは、システムそのものの実力を見極めるこ
となのです。
これは、けっして簡単なことではありません。システムトレードについての理解を
深めていくと、 累積利益やバックテストの結果(過去データでシステムを走らせた
結果)など、過去のデータを単純に見るだけでは、システムの真の実力は見えてこな
いと分かってくるはずです。
それでは、どのようにしてシステムの真の実力を明らかにしていくのでしょうか。
それが本書のテーマ「確率統計で考える」ことです。
確率統計で考える
統計学は、一言でいうと「推定のための科学」です。例えば、テレビの選挙速報で
、わずか数パーセントの開票率にもかかわらず「当選確実」の報が出るのを不思議に
思った方も多いのではないでしょうか。
これは統計学の技術を使っています。出口調査やその時点の開票結果といった、わ
ずかな情報から、まだ投票箱の中身をすべて見ていなくても、数学的に推定できるの
です。
本書では、複雑で不可解な動きをする相場やシステムを大きな"投票箱"と見立てま
す。そして、そこから出てくる売買結果をもとに投票箱のすべての中身――すなわち
、今後出てくるはずの売買結果――を数学的に予測します。
しかし、本格的な分析には、確率論や統計学の本にあるような複雑な数式が必要で
す。それでは、せっかくの優れた技術も実用的ではありません。
そこで本書では、さらに工夫をして、こうした複雑な方程式をすべてエクセルの計
算式で表しました。本書にあるエクセルの式を入力すれば、分析してみたいシステム
についてのデータをエクセルにコピーするだけで、高度な統計計算ができるのです。
複雑な方程式の意味は分からなくても、そのエクセルの計算式から結局のところ何
が分かるのか、計算結果として得られた数値は何を意味しているのか、といった基本
事項さえ理解できていれば、実用上は十分でしょう。
ただ、後々に応用が利くように、エクセルの式のなかで重要な数値の意味は、でき
るだけ詳しく説明するようにしました。こうすれば分析に慣れてきたとき、変数を調
整して自分なりの手法を開発できるはずです。
システムトレードの世界は今、急速に"環境"が整ってきています。高性能で使いや
すいシステムトレードツールや自動売買プログラムが開発され、誰もがそれを手軽に
利用できるようになりました。また、そうした先端的なシステムを活用できる証券会
社やFX会社も増えてきています。
ご自分でシステムを開発される方も、専門会社が開発したシステムに"投資"をした
い方にとっても、最終的に重要なのは、システムを選ぶ「目」を養うことです。本書
がわずかなりとも、そのお役に立てれば幸いです。
本書を最後までお読みいただき、ありがとうございます。
海外では、先物を中心に、システムトレードに数十年の歴史があり、その研究の奥
深さと膨大な情報量には圧倒されるばかりです。システムトレードに理解を示し、有
利なスプレッド(FXやCFDで)や優れたツールを提供するブローカーも多数あり、万
全の環境が整っています。
そのため数年前までは、日本の個人トレーダーがトレードステーションやメタトレ
ーダーといった汎用のプラットフォームを利用して本格的な自動売買をやろうとすれ
ば、どうしても海外のブローカーに口座を作る必要がありました。また、経験者が求
めるような本格的な情報を得るためには、英語の書籍か海外のサイトをあたるよりほ
かありませんでした。
しかし最近、そうした海外との大きな"格差"を一挙に取り戻すかのように、日本の
システムトレード環境が急速に発展しています。
例えば、本文で紹介したように最先端のシステムトレードツールを提供する証券会
社やFX会社が、日本にもいくつも登場してきました。また、システム開発にチャレン
ジするための情報も充実してきており、自動売買システムを開発し、個人投資家に提
供するシステム開発会社(プロバイダー)も増えています。なかには「世界レベル」
といえる会社も出ており、おそらく今後、こうしたプロバイダーが急速に世に知られ
るようになるはずです。
そうなれば、個人投資家にとってシステムトレードの敷居は、より低くなるでしょ
う。専門家の開発した実力のあるシステムが多く提供されるようになれば、必ずしも
自分自身がプログラミングやテクニカル分析、ファンダメンタルズなどに精通してい
なくても、本格的なシステムトレードを実践できるようになるからです。
また、さまざまなプロバイダーが登場することで、裾野が広くなり、この分野の研
究がさらに進むでしょう。それは、利用者にとっては本当に良いシステムに出合える
チャンスが増えることを意味します。その結果、システムに投資をするというスタイ
ルを選ぶ投資家も増えるはずです。
そして利用者の増加は、プロバイダーどうしの競争や切磋琢磨につながり、さらに
良いシステムが市場に増えることにつながります。私は日本でも、そのような理想的
な発展のサイクルに入ってきたと感じているのです。
しかし、情報が多ければ、それに翻弄されることもあり得ます。さまざまなプロバ
イダーがバラバラの方法・基準で自らのシステムの優れた面を主張するようになれば
、何を基準にして優劣を判別したらいいのか、何が信じられる情報か、分からなくな
ってしまう危険性があります。
また、市場が大きく発展してくれば、そのなかには必ずしも「まじめ」ではないシ
ステムも混じってきます。私は、システムトレードが発展していくなかで、このよう
な負の面も同時に顕在化するのではないかと懸念しています。
そうした"玉石混交"のなか、このチャンスの時代を生かして、安定して長期的に勝
てる投資家になるためには、やはりシステムを見る目を養い、使いこなす技を身につ
けるしかありません。そのスキルアップに、本書がわずかなりともお役に立てるとす
れば、著者としてこれ以上の喜びはありません。
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